客員共同研究員(研究当時 特任助教)の飯塚さんの論文がScientific Reportsに出版されました。ケイ酸塩・硫黄・鉄・水の共存する地球形成初期を模擬した条件でJ-PARCにおける高温高圧中性子回折実験を行った結果、硫化鉄には水素は取り込まれず、また残った純鉄も水素化されにくくなることを示しました。
含水鉱物を含まないような系で行われた先行研究では、水素化したFeSができることが報告されていましたが、含水鉱物を系に含む今回の実験では、FeSは水素化せず、代わりに硫黄の含まれない水素化鉄が生成しました。水素化鉄と硫化鉄が共存すると、系の融点が大きく低下し、他の系元素の取り込みに有意な影響を与える可能性があります。このように、複数の軽元素が共存するような系で鉄の水素化反応を考えることはとても重要であると考えています。
プレスリリースもあります。併せてどうぞ。
Iizuka-Oku R., Gotou H., Shito C., Fukuyama K., Mori Y., Hattori T., Sano-Furukawa A., Funakoshi K., and Kagi H. (2021) Behavior of light elements in iron-silicate-water-sulfur system during early Earth’s evolution. Scientific Reports, 11, 12632 https://doi.org/10.1038/s41598-021-91801-3