鍵教授とD1の森さんによる日本語の総説が出版されました。J-PARCの高圧中性子回折ビームラインPLANETにおける鉄の水素化に関する中性子回折実験の結果をまとめたものになっています。
地球核は鉄を主成分とする合金であると考えられますが、地震波観測から予測される核の密度は鉄より低く、軽元素が溶け込んで密度を低下させていると推測されています。水素はその有力な候補と考えられますが、鉄のような重元素からなる結晶中に存在する水素の位置や量を決定することは容易ではありません。鍵研のメンバーも協力して建設されたJ-PARC MLFの高圧中性子回折ビームラインPLANETは、実験的に困難が伴う高温高圧下での中性子回折実験を可能にし、実際の地球核の圧力にはまだ及ばないものの、この分野の新しいアプローチを拓いてきました。
今回の総説には、PLANETを用いて明らかになってきた地球深部の水素に関する知見がまとまっています。